外来を受診される方 手、肘の病気・けが(手、肘の関節障害)

手、肘の病気・けが(手、肘の関節障害)

担当グループ

手の外科グループ

診療時間

毎週月曜日 午後

診療する主な疾患

母指CM関節症 、手根不安定症、変形性手関節症(carpal instability, SLAC)、デュプイトレン拘縮(Dupuytren's contracture)、母指靱帯損傷、骨壊死(キーンベック病;Kienböck's diseaseなど)、舟状骨偽関節、三角線維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)、屈筋腱損傷、手の先天異常(多指症、合指症など)、関節リウマチに伴う手の障害 、肘離断性骨軟骨炎(野球肘)、手の骨軟骨欠損など

手、肘の関節障害

母指CM関節症

中高年の方で、タオルを絞ったり、ビンのふたを開ける時など力を入れると親指(以下、母指と呼びます)の根元に痛みある。痛みのある部位に骨がとびでている。そのような症状をだす病気に母指CM関節症があります。

関節の表面を覆っている軟骨が加齢につれてすり減っていく変形性関節症という病気は膝に多いことが有名ですが、母指の付け根の関節にも多く、母指CM関節症と呼ばれます。母指には3つの関節がありますが、このうち一番体に近い手首のそばの関節がCM関節です。母指CM関節症は女性に多く、40代からは病気になっている可能性があります。45歳以上の女性では3人に1人は既にCM関節の軟骨に摩耗があり、そのうちさらに3人に1人が痛みなどの症状を抱えているとも言われています。 母指CM関節症が手首の腱鞘炎と間違えられることもあります。また、母指CM関節症と手指のしびれをおこす手根管症候群という別の病気が併存しやすいことも知られています。

対処法としてまずは使いすぎを避けます。痛みが続くようならまず近隣の整形外科を受診し、レントゲン検査で関節の摩耗状態を確認してもらうのが良いでしょう。最初は、痛み止めの内服薬や湿布、母指を安静に保つ装具を使って経過をみます。腫れが強いときなどステロイド剤の注射を行うこともあります。数ヶ月間そのような治療を続けても痛みがひかない場合には手術も一つのオプションになります。

母指CM関節症対処法の例

手術にはいくつかの方法があります。代表的な方法として関節を動かないよう固定してしまう関節固定術と関節の動きを残しながら関節を作り直す関節形成術があります。関節形成術には人工関節で置き換える方法と自分の体の組織(腱)を使用するLRTI法 (Ligament Reconstruction Tendon Interposition)があります。普段の生活でどのように手を使っているかなどを考慮して最終的には手術法を決めていますが、当院では関節形成術、特に独自に改良したLRTI法を中心に行っています。

この方法を紹介します。4,5日程度入院します。手術は腕だけの麻酔または全身麻酔でおこないます。皮膚を切開するのは2カ所(母指の付け根2cm程度と腱をとるために5 mm程度)です。軟骨がなくなった関節の周りには骨の棘かできています。この骨の棘を含めて関節の両側の骨を数mmずつ削り隙間を作ります。手首からとった長掌筋腱とよばれる腱(10 cm以上とれます)はこの隙間にいれてクッションの役割をさせると同時に関節を安定させるための靱帯を再建する目的でも使用します。長掌筋腱はなくなっても手の機能上問題ありません。手術後は3週間ギプスで手首から母指までを固定します。手術後2ヶ月間は母指に強い力をいれては使わないようにします。痛みと力は半年程度をかけながら徐々に改善します。動きの制限はほとんどおきません。手術の結果、9割を超える方に症状の改善が期待できます。このような関節形成術は10年を超えるような長期間でも効果の持続が期待できると言われています。

LRTI法 術前・術後
左:術前 右:術後

変形性手関節症

手首に痛みが持続する原因の一つです。手首(手関節)の軟骨が摩耗した状態です。頻度はそれ程多くはありません。元々、何らかの障害があって、それに続発する形で10年近い経過をたどりながら進行してきます。手首には8つの手根骨という小さい骨がありますが、例えば、その要となる舟状骨が骨折し放置していた場合(舟状骨偽関節)や舟状骨とその隣の月状骨の間の靱帯が損傷して手根骨のバランスが崩れた場合(手根不安定症)、骨が壊死する月状骨壊死(キーンベック病)という手根骨の病気が進行した場合などです。
慢性的に手首に痛みが続く場合にはレントゲンで変形性手関節症やその原因となる病気がないか調べます。 治療は装具で手首を安静にすることや飲み薬を飲むといった手術をしない方法と手術とがあります。各々のケースで手術法は異なります。手術となるとかなり専門的ですので手の外科の専門医と相談すると良いでしょう。

指の変形性関節症(へバーデン結節、ブシャール結節)

50歳以降の女性に多い疾患です。特にDIP関節(通称 第一関節)の関節症であるヘバーデン結節は、手の関節症の中で最も多いと言われています。まずは安静、痛み止め(外用薬など)、関節注射を試み、それでも疼痛や変形が強い場合は、手術が必要となる場合があります。手術加療としては、へバーデン結節に対しては関節固定、ブシャール結節に対しては人工関節、関節固定術などがそれぞれ適応となります。

肘の変形性関節症

過去の外傷、使用状況などにより肘関節の軟骨が変性、症状をきたしたものです。関節内遊離体(関節ねずみ)、骨棘、滑膜炎などによる症状が強い場合は、それぞれ摘出術、切除術などを行います。
重症の場合は人工肘関節置換術も行いますが、重量などの制限が強く、適応は慎重に選ぶ必要があります。

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