整形外科について 股関節診

グループ概要

変形性股関節症や特発性大腿骨頭壊死症に対する人工股関節全置換術を年間100件以上行っています。人工股関節再置換術や関節温存手術の経験も豊富で、安定した成績を得ています。

スタッフのご紹介

診療実績

人工股関節全置換術(THA:Total Hip Arthroplasty)

術後レントゲン(右股関節)
3次元術前計画

当院では、患者さんの状態に合わせて、様々なアプローチ(前方、後方)やコンピューター支援手術(ナビゲーション、ロボット)を使い分けています。また、内科的な併存症をお持ちの方など、手術において配慮が必要な方でも、大学病院ならではの他科との密な連携を生かして安全に手術を行うことを心掛けています。

<後方アプローチ>

後方アプローチは脱臼率が高いとされる報告もありますが、当院での脱臼率は1%以下と決して高くありません。後方アプローチの利点は視野が良く、難しい症例に対しても安全に手術が可能である点です。特に、変形が強い症例、骨切り術後(寛骨臼側、大腿骨側含む)の症例などには、積極的に後方アプローチを行っています。その際、患者さんの状態に応じてコンピューター支援も併用します。

<前方アプローチ>

当院では、前方アプローチの中でもより侵襲の少ないAMIS(Anterior MIS, 前方からの低侵襲手術)を採用しています。股関節の前方におよそ7-8cmの皮膚の切開を置き、筋肉や周囲の組織をなるべく傷つけないように手術を行います。女性では、ふともものしわに沿ったいわゆるビキニ皮切を取り入れています。前方アプローチの利点は侵襲が小さく、術後の回復が早いことです。また、術中X線透視を確認しながら安全な手術が可能です。一方で、視野が狭いぶん、手術を行うのに習熟が必要です。両側の股関節がともに悪い方には、両側同時手術にも対応しています。

骨形態に応じたインプラントを選択
当大学で考案、実用化したライナー

いずれのアプローチにおいても、個人の骨形態やサイズに応じたインプラント選択が重要であり、術前のCTをもとに3次元術前計画を行い、適切なインプラントを選択しています。術後も3次元的評価を行うことで、その結果を発信し、また今後の治療に還元していきます。当大学にて考案され実用化したAquala技術を搭載したライナーは、摺動面(関節が動くところ)の摩擦を極限まで低減することで、低摩耗性を実現しています。術前計画の結果によって使用可能な症例には用いており、今後の長期成績が期待されます。

人工股関節手術はインターネット上でも様々な情報があふれており、何がご自身の状態に最適か、わからないことも多いかと思います。当院では患者さんの状態と希望に応じて、適切な手術を選択いたしますので、お気軽にご相談ください。

特発性大腿骨頭壊死症

大腿骨頭壊死のMRI画像
両側人工股関節術後

特発性大腿骨頭壊死症は、本邦でも年間に3000-4000例が新規に発生する疾患であり、厚生労働省の指定する難病になります。当グループのメンバーも厚生労働省の研究班に属し、診療ガイドライン策定などにもたずさわっております。現在でも300症例以上の症例の自然経過の観察や、術後症例の経過観察を行っており、新規の症例も多数診療しています。

寛骨臼回転骨切り術(RAO:Rotational Acetabular Osteotomy)

術前および術後のCT
当科の田中らが発表した三次元評価

本邦では、変形性股関節症の原因の多くが、寛骨臼形成不全によるものとされています。骨盤のかぶりが浅く、軟骨にストレスがかかるという状態です。RAOは、1960年代に当大学にて考案された手術です。安定した長期成績が多数報告されており、現在も適応のある症例に対しては積極的に実施しています。受け継がれてきた手法に従い行うのみでなく、新たな手法も取り入れ、より安定した成績を求めた手術手技を心掛けています。

RAOにおいても、3次元的な評価はかかせません。当科の田中らが公表した手法(Tanaka T, Moro T, et al. Int Orthop. 2018)で術前術後の評価や多数ある長期経過例に関する骨形態の評価なども行っており、その結果の公表や最適な骨切り位置、回転角度に対する検討を続けていきます。

近年では、RAOにおいても、ナビゲーションを用いて正確に骨切りを行う手法が広がってきております。また、前方から低侵襲に骨切りを行う方法(CPO, SPO)を行う施設も増えており、骨切りについても日本全国で様々な手法が行われているのが現状です。当院でも骨切り手術に熟練した医師が患者さんの状態と希望に応じて、手術を含めた適切な治療をご助言いたします。

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